映画『顔だけじゃ好きになりません』
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『顔だけじゃ好きになりません』のキャスト

宮世琉弥さんは主演ながらも、座長だからといって変に気負っている様子は感じられませんでした。年齢の近い共演者の輪の中心にナチュラルにいた印象です。鎌倉で才南ちゃんを間に挟んで奏人先輩と土井垣くんが対峙するシーンでは、機材のセッティング中に3人が定位置にずっと立ちながら楽しそうに会話している姿が印象的でした。撮影自体始まったばかりでしたが、その段階でお互い「颯ちゃん」「りゅびたん」など下の名前で呼び合っているのを微笑ましく見ていました。

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奏人先輩役宮世琉弥のアドリブで生まれた胸キュン

日曜日の駅前で、走って来た才南ちゃんの汗を奏人先輩が両手で包み込むように拭うシーン。当初は原作通りに奏人先輩が才南ちゃんのおでこの汗を片手の袖で拭う予定でした。原作通りの形でテストしてみたところ、宮世さんが「こっちの方がよりドキッとするのではないか」と両手で包み込む形の仕草を提案。現場スタッフ全員参加の投票の結果が本編に反映されています。学校の階段の踊り場で奏人先輩が才南ちゃんに「俺の顔、好きなんじゃないの?」と壁ドンする場面も宮世さんからのアイデアです。どのように才南に顔を近づけるのが自然かを探る中で、宮世さんは「今回の作品では絶対どこかで壁ドンをやってみたかったんです!」と楽しそうに壁ドンしてくれました。

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ラブコメなのにアクション監督召喚!?

大変だったのは、奏人先輩と土井垣くんに迫られた才南ちゃんが足を滑らせて崖から転がり落ちる鎌倉でのシーンです。久間田さんが実際に転がり落ちるわけではないですが、落ちる瞬間の動きや反応をアクション監督に現場で指導してもらいました。ちなみに久間田さんの背後は実際に崖。落ちそうになる演技をする久間田さんの後ろでは、久間田さんがギリギリ転落しないようにアクション部のスタッフが支えています。スライディング土下座したり、走って壁に激突したり、階段から落ちて逆さの姿勢で転がったり、才南ちゃんは特に動きの派手なコミカルな演技が多いので、撮影現場にはマットやサポーターが常備されていました。久間田さん演じる才南ちゃんは毎日一心不乱にドタバタしていたので、途中から恋愛映画なのかアクション映画なのかわからなくなりました(笑)。

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原作で人気の土井垣タトゥーを完全再現

原作ファンからの人気が高い土井垣くんのタトゥーは原作と同じデザインを採用しています。中島さんの腕の太さに合わせてミリ単位で微調整し、毎回エアブラシで描いてもらったので時間はかかりました。それだけ手間をかけたのは、原作ファンに喜んでもらいたいからです。実は上映時間の関係で土井垣くんのタトゥーをなしにするか否かという議論がありました。しかし原作ものを映像化する上で大切なのは、原作の持ち味を変えてはいけないという事。原作に描かれている素敵なものは極力再現するという意気込みがあったので、土井垣くんタトゥーは見事残りました。そのタトゥー初お目見えシーンでは、まるで土井垣くんが才南ちゃんをお姫様のように抱き抱える体勢になっています。原作での体勢は土井垣くんが才南ちゃんの上に覆い被さっている形ですが、体勢の変更は映像的な美しさを優先した結果です。

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SNS表現のこだわり

冒頭の朝の登校シーンで、才南ちゃんが奏人先輩について熱弁するのに合わせてSNSの写真のコラージュで見せる演出にしたのは、奏人先輩が劇中に登場する前に彼の美しいお顔をしっかりと見てもらう狙いがあります。奏人先輩の数々の写真は偶然撮られた街角スナップが勝手にバズったという設定で、そのSNSの写真の為だけに20ポーズ以上のファッションを用意しています。さらに才南の運営する美和総公式アカウント用には、レアな眼鏡姿や有線イヤホンの片方を二人でそれぞれ聴くシチュエーションなど萌え要素を高めるよう努力しました。ハッシュタグのワードなどは原作にあるワードを採用しつつ他のワードもたくさん考えたので、隅々まで見ていただきたいです。

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想像を遥かに超えたカフェの感涙シーン

思い出深いのは、カフェで土井垣くんが才南ちゃんに告白する場面です。急に二人が大人っぽくなるというか、僕自身も撮りながらグッと引き込まれました。通常、演技に新鮮さを出すためにクライマックスシーンのリハーサルはしないことが多いのですが、今回においては中島さんに土井垣くんと才南ちゃんのラストシーンを経験してもらった方がキャラクターを作りやすいのではないかと、久間田さん参加で事前に立ち稽古をしました。いざやってもらったら二人とも感極まって泣きそうになってしまい……。その段階で中島さんと久間田さんの関係値も一つ上がったのではないかと思います。前半はワチャワチャしている映画なのに、後半から急にみんな大人っぽくなるという(笑)。それは奏人先輩にも言える事で、観客の皆さんにもキャラクターの成長を感じ取ってもらえるはずです。

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キス未遂の裏切りラブコメ

寸止めキス連発ラブコメということで、宮世さんは「ファンの方々に優しい映画」と評しています。物語の終着点として奏人先輩と才南ちゃんがキスをして大団円という形にした方がいいのではないかという議論は脚本作りの段階にありました。しかし最終的にはラブストーリーなのに……!? という裏切りの面白さを採用しました。キスするのか!? しないのか!? というドキドキの寸止めでは、お二人の唇をクローズアップで撮りました。ここまで唇をアップに撮ったのは初めての経験かもしれません(笑)。お互いに顔を接近させてベストな位置で寸止めするのは実は難しく、普通だったらどこで止めるべきなのか迷うものです。ところが宮世さんは一切の躊躇なくギリギリのところでピタッと止める! 職人技と言いたくなるくらいの的確さを大きなスクリーンで確認してください。

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